深海の水のように

研ぎ澄ませ心を

室温〜夜の音楽〜(再演) 感想

室温〜夜の音楽〜

2022.7.23 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

 

めちゃ面白かったです!見てよかった!

 

高校生の時からたまが好きで作品の存在は知っていました。あとCDを持っていたので音楽も。なぜ見に行っていないかは今の私の年齢が初演の間宮くんと同じってとこから察してください。

今年の2/14に室温の初演の間宮くんがアツヒロさんって知ったんですね。で、戯曲を読んだり初演のパンフレットを買ったり狂いまくっていたタイミングでなんと再演のお知らせがあり、チケットを取りました。これは運命。

あ、トニセンのドラマも見ましたよ!

 

会場では古川さんのファンからのお花があったり、ロビーでファンの方々がお土産交換会をしてたりしてどの界隈も楽しいなと思ったりして。

阪急中ホールとっても見やすくてよかったです!下手後ろの方で見てましたが前の方の頭の間に舞台が全部入って、全部見えました。

 

 

パンフレットを読んでたらドラムスティックが鳴って音楽が始まり、開演。在日ファンクの音楽とってもかっこよかったです!

再演のこちらはすでにあるお芝居に合わせて音楽を作って、初演はたまの音楽ありきでお芝居ができていて、音楽とお芝居の関係が逆になってるのが面白いな〜と思いました。完全に別物!おしゃれ!

映像と音楽のオープニングとてもオシャレでかっこよかったです。

全編通して歌詞はあんまり分からなかったのですが、ちょっとずつ聞こえる部分でなるほどね〜ってなったりしました。たまの音楽はめちゃめちゃ言葉が聞こえるのでその辺ももう全部別物ですよね。(曲を完全に知ってドラマ見てるから余計にですけど)

(でもお芝居に合わせた音楽の上に歌詞が聞き取れないということで、ちょっと音楽の力が物足りなかったような気もしたりしなかったり・・・かっこよかったんですけど・・・)

 

舞台の作りが半円になってるのとか、外と中がごちゃごちゃになった装置も素敵でした。紗幕で遠景になってるのがとても好きでした・・・戯曲に初演の写真が載ってるんですが、遠景をバックにしたたまの写真がとても好きなのでちょっと彷彿とする感じがあって・・・・・

外と中もごちゃごちゃだし生と死もごちゃごちゃだし正気と狂気もごちゃごちゃなんですよね。たぶん。

 

ストーリーというかお芝居が戯曲に忠実で、初演の雰囲気とあんまり変えてないんだろうなって印象を受けたのが嬉しかったです。パンフレットの対談でも前から変えないにようした感じの話をされていましたが。古川さんの間宮くんとかも、もっと寄せるというかなんというか、違う自然な感じにもできたと思うんですが、そうではないのが・・・

別物として見てはいますが、やっぱり初演の残り香を感じられるのはありがたいです。亡霊的にも。

(ケラさんのツイート曰く初演は記録映像とかも残ってないみたいだし・・・残念・・・・)

 

古川さん、めちゃ手足長くて全体的に長くて背高くて、繊細な造形がとってもよかったです。目の前にあるものじゃなくて夢を見てるような雰囲気が似合ってた気がする。儚さとか危なげな感じとか、ある。言ってることが全部本当のことなんだろうな〜と思えるのが好きでした。私はたぶん間宮くんは全て本当の事を素直に言っているのだと思ってます。

パンフレットで「あまり賢くはないガラの悪い元ヤンキー」とか「理解できてないのにただそう答えている」とか「おバカ」とか、戯曲(=初演)(初演は当て書き)の間宮くんに対してめちゃ言ってて興奮しました()

そういうイメージが本人に無いなかで「殺すぞ!」とかヤンキーっぽいことを言ってるのがめちゃ面白かったです。褒めてます。というかお話的にいうと間宮くんっていかにも古川さんがやりそうな役・・・繊細で儚げで湿気のあるロマンチックというかなんというか・・・なイメージがあるんですけど、なのにヤンキーなのが面白いんですよね・・・悪魔祓いの本を信じるヤンキー・・・()

背が高いからヤンキーとは種類の違う威圧感があるのもよかったです。背が高くて手足が長いのがちょっと不気味に感じられて、それがとっても合っていて・・・お芝居が同じ路線でも、やっぱりやる人が違うと違うよさってある。

 

そういえば間宮くんの登場シーンにインストの曲があって"間宮くん"だ〜!!!!!!って大興奮しました。曲が入るタイミングとかもだいたい一緒だったと思うんですけど(アンコールのもう一曲を含めて)、間宮くんの曲があってとっても嬉しかったです。

 

 

キオリの平野さんの声のコントロールが凄くてさすが声優さんだなと思いました・・・すごい・・・振れ幅と振れる速度がすごくてすごくてめちゃ鳥肌たちました・・・作中で色んな声出してたのにアンコールの1曲で全然違う声がまた聞けたりして、本当に凄かった・・・!というか平野さんの歌聞けるのめちゃラッキーですよね。はじめ古川さんと平野さんでストプレ!?って思いましたもんね()

 

長井さんの藤沢姉、長井さんは初めて拝見したのですがとってもよかったです。爆発する所が切なくて悲しくてギュッてなりました。キオリも赤井も""っていう立場は同じなんですが、2人は全然違うんだなっていうのを、実際の人が演じるのを見て理解しました・・・・・すごく好きでした。

 

堀部さんの海老沢父は人が演じるとこういう感じなのか〜と思ったんですが、ずっと穏やかで優しくて、だから余計にやった事が気持ち悪くてよかったです。

 

坪倉さんの下平めちゃよかったです。坪倉さん面白いし怖いしすごい。あとなんか昔見た時より体型とかも変わってて中年()の色気があってめちゃよかったです。もっとたくさんお芝居やってほしい・・・見てないだけでやってるのかもしれませんけど・・・殴られた後、だいぶ経ってから双眼鏡で見て血が流れてるのに気づいてびっくりしました。すごい、海老沢父もカテコで胸に染みができてたし、こだわりを感じました。

 

浜野さんの木村と少年はなぜ一人二役にしたのか最後まで分からなかったんですけど、どっちもよかったです。なぜ一人二役にしたんだろう。子どもってことなんだろうか?戯曲読み返したら入れ替わるシーンがあったからそういう理由なのかな〜

木村めちゃ面白かったです。すごい。木村と下平が面白いからこそ怖くて怖いからこそ面白くて・・・あと木村が発砲する時に本当に撃ってて?なんていうんですか?火薬使っててびっくりしました。

 

十日市さんが出てくるのが外と中がごちゃごちゃになってる廊下からなのがいいですよね()去る時に上の映像で消えてるのも面白いな!と思いました。

 

作中で1人だけ大きくキャラが変わってたジェントルさんは、でもご本人のキャラに合ってそうでいいなと思いました。

後もうひとつ、死んだ人達について「根に持つ」ってキーワードが出てきてたのが、何かは分からないですが、持っておきます。根に持ってるからあそこにいる・・・

 

 

結末について、戯曲を読んだ時にあれはサオリの幽霊だと思って、ドラマを見た時にあれはキオリだと思って、今回お芝居で見てどっちだろう・・・ってなりました。サオリと一体化したキオリなのか、サオリになりたすぎてサオリになったキオリなのか、キオリが死んだからサオリの幽霊が出てきたのか、サオリは何か根に持ってるから出てきたのか、もっと他か。

最後の映像で学生服の間宮くんとサオリが出てくるので、サオリなんだろうなって感じはするんですけど、でもそこで抱きしめられてるのは魂が入っていないような無の身体なのが、いったいどっちなんだろう・・・と・・・幸せそうな間宮くんを見てるとサオリであってほしいんですけど・・・あの人形のような女の子は・・・・・・どっち・・・・・・・・・・・・・・

 

あ、あと、最後の映像でみんな死んだよって念押ししてくるの好きでした。

 

 

あと余談なんですけど、人の言葉で聞くと本当に当て書きだったんだな〜っていうのが言葉の端々に感じられて個人的に楽しかったです。漠然と感じただけなので説明するのは難しいんですけど、一緒にムショ入ってた奴の姉の話の時に「で」で話を繋ぐのとか、わりと簡単な言葉で話すのとか、ヤンキーなのとか()

 

おそらく初演に誠実に作ってると思うんですが、だから特に音楽とか、違いがまた違った良さ、面白さになっているのもよかったです。見たいものも見れて、見たいものとは違う良いものも見れました!とっても面白かったです。

 

あと物販でハーブティー売ってるのがめちゃめちゃ良かったです。()