深海の水のように

研ぎ澄ませ心を

ミッドサマーみたよ

ミッドサマー  みてきたよ

 


わたし個人的には爽やか優しくてよかったです!でもたぶん経験から生まれる価値観とかにもよるんだろうなと思いました。

祭り!儀式!土着の風習!オリジナル宗教!大好き!なので、そういう意味でもものすごく普通に楽しかったです。あと!!衣装が!!!かわいい!!!!!!!!!画が!きれい!!!

 


ネタバレしつつ中身の話なんですけど、ストーリーは他にたくさんネタバレ記事があるのでそれ見た方が分かりやすいと思います。

そもそも本当に見れるか心配になりすぎて最初にルーン文字の解説とか結末とか見ちゃってから見たんですよね。杞憂でよかったけど恐怖とストレスが半減した感はある。


個人的には最初の冬のシーンがいちばん怖かった。

出だしからいきなり不安を煽りまくる映像と、ガスのホース咥えて死んでる妹の図が作中いちばんきつかった・・・・

お家とかお部屋に大量に飾ってある写真とか、全部意味があるんだろうなぁ。


で、夏

ダニーのことを面倒がってる友達と彼氏と、なんか、ダニー置いて行ったら死ぬでしょとか思って見ていた。

ペレ普通に優しくない???どう?不安???このシーンで隣の席の人が「こわい」か「かわいい」かわからないけど3回くらい言ってた。たぶん「かわいい」だと思う。おたくの鑑賞会じゃないんだから静かに見てよね。


ここから飛行機になるとこすごい!って思った!


スウェーデンに着いて、そこから車で移動中の映像から映像酔いめちゃしてしまった・・・・・・ホルガまで歩いていくところもすごい酔った・・・・・・


でイギリスのふたりとかバッドドリップとかいろいろあって、このバッドドリップもまたなんか不安でドキドキしてちょっと怖い感じだったけどまあトリップしてるから・・・と思ったらあんまり怖くなかったな。そういえば、トリップしてる時はCG使ってそうじゃないときはアナログな感じで撮ってるのなるほどな〜と思った。


それでホルガについたら気持ちよくて衣装かわいくて爽やかな映像にちょいちょい入ってくる不気味なイメージと不穏ワードに次ぐ不穏ワード・・・壁画がどれもこれも物騒


それで祭りが始まって楢山節考のシーン(何度見ても聞いてもおぼえられない)なんですけど、グロについては大破する部分がしっかり作られた作り物なので個人的にはそうでもなかったです。落ちるところもぐしゃってなるところも遠景だし、安心して見れました。これCGだったら泣いちゃうよな。画が形式美的な美しさなのも和ませポイントかと・・・・余計に不安になるけど・・・

たぶんここが最初の完全にこの集落おかしいよポイントだと思うんですけど、それこそ楢山節考しかり姥捨山しかり、日本にもそういう発想ってあるので、まあ、あんまりおかしい!狂気!とか言えないのでは・・・・と思ったりした。むしろちゃんと供養というか後始末してもらえるの優しいのでは・・・・・・絵面はすごいけど・・・・・

楢山節考について、わたしは原作とか映画はまだ見てないんだけど、好きな劇団が楢山節考からインスパイアされまくった姥捨のお芝居をやっていて、それがあまりによくて何度も見すぎて姥捨の風習と生命サイクルについて納得しているのであんまり狂気を感じなかった可能性はある。)


そういえば、ここのシーンできれいな男の子がこっち向いて微笑むとこ、ちょっとドキッとした。


で、個人的な体験を思い出してうーってなるダニーと道徳か何かと照らし合わせてこういう文化を認めてあげなきゃいけないって言うクリスチャン・・・・


そういえば90年に1度のお祭りってどこからどこまでなんだろう?メイクイーンとかアッテストゥパンとかって毎年ありそうな気がするんだけど・・・・(メイクイーンの写真の数的に)あと人の一生が72年なら経験できない人が定期的に存在するのなんか何なんだろう。


で悪夢があったり急にどアップで割れた頭が映ってぎゃっ!てなったりして、クリスチャンがマヤのお誘いを受けたり、本についての話があったり、先祖の木とマークのくだりがあったり、ペレとダニーのくだりがあって、このペレとダニーの家族の話の時にだいぶ救われちゃった。


ジョシュがマーク(の皮を被った人)に気づいてカメラがワーッて向く時、もう1人白い人が映ってひゃっ!てなった!こわ!


メイクイーンのくだりも胸熱でよかった!なんか、いろいろあるけど、運とかも味方しつつちゃんとこういう所で勝つダニー好き

うにゃうにゃした草花と森とご飯の宴会シーンにひゃってして、後ろの妹は気づかなかった。

からのクリスチャンとマヤのセックス・・・・・・の前の方の相談されるシーンで焼かれる熊の絵見てるのすごいなんかなんか・・・・・・

メイクイーンの豊穣のお祈りからセックスシーンになる所で畑と畜産と生命・・・!ってなって謎に感動してしまった。(経血採血のタイミング的にあれで妊娠できるかどうかは考えない・・・)

ちなみにあれモザイクかけてまでR15にする意味あったんだろうか?R18でよくない・・・・?(確か映倫のレートでは接合部もだけど、勃ってる棹もだめだったはず)(エンドレスポエトリーで学んだ)


で見ちゃいけないって言われたのに見てメンタルブレイクするダニーと泣き叫ぶホルガのみなさん。このみんなで共有するの、相手の気持ちを理解しようとしてるようで個人的にはわりといいイメージだったんだよね。どこかで妻が出産する時に夫も苦しみを真似する風習があるって聞いた事あるけど、そういうのを思い出したので。

あとなんか、真似してるのって苦しみとか辛さだけじゃない?死ねなかった時とか、ここのダニーとか、セックスする時のマヤとか、焼かれる2人とか。覚えてるのがそのへんだけなので・・・・一度しか見てないからちゃんとはわからないけど・・・苦しみは割り勘的なものを感じた。あと自分の解放っていうのも感じたな。うらやましい・・・

喜びとか他の気持ちも共有してたらごめん


からの全裸の男の子がウロウロしてる不安さ・・・からの話題性バツグンの血の鷲・・・これも肺が膨らんだり萎んだりしてるけどまあ丁寧に作られた人形感があるから大丈夫でした・・・・でも目の花はちょっとつらかった・・・

勝手にこれジョシュだと思ってたんだけどサイモンなんだね・・・・・・と最後の時にジョシュぽい人が出てきて気づいた。

ここでクリスチャンが倒れる時に壁の向こうか何かの隙間からにこにこしてるペレが見えるらしくてひゃ〜ってなった・・・見たい・・・(見たいのかよ)


女王のチョイス、最後の最後の結果発表、そりゃあまあ、ですよな・・・・・という気もあり・・・・・


最後の儀式、ずっと意味ありげに置いてあった三角の建物にみんな入れられて、ペレがリヤカーで運んでるのってコリー?

そういえばアッテストゥパンで死んだ2人の顔の皮ですよみたいなのでかかし作ってたけどあれ何かで作ったんだよね?ふたりとも顔は大破してるもんね?

クリスチャンの熊に対して、いちばん深い罪がナントカ〜みたいなこと言ってて、明らかにルール破った他の人達に比べるといい奴ではないにせよ悪い奴でもなかったので、そんないちばん深い罰なんだ・・・・と思ったけど失恋した相手とか居場所ではなかったことを考えるとそれくらいでちょうどいいのかなぁ・・・・


そういえば、イチイから取ったよみたいな毒を食べても怖くて痛くて叫んでるふたりを指してホルガは全部嘘だ!みたいな考察も見たけど、オーディエンスの皆さんが幸せそうにしてる訳ではなく苦しんでるように見えたので、普通に分かってるのでは?と思ったりもした。

あとイチイの毒について調べてみたけど、すごい勢いで症状が進むから死ぬ直前まで分からない事もあるって書いてあって(ウィキペディアに)もしかしたら、それで焼ける前に死ぬみたいな意味だったのかな〜とかも思った。でもこういうのって原語だと全く違うものの可能性もあるけど・・・


で、ダニーはなんともいえない関係で自分の居場所ではなかったクリスチャンとさようならして、家族として迎え入れてくれるホルガに新しく自分の居場所を見つけてハッピー!よかったよかった!っていうイメージでした。盛大な縁切りからの自己再生ムービー。

ただダニーの笑顔からスタッフロールになったところで隣の人が「これで終わりかーい」ってつっこんで余韻が半減した。おたくの鑑賞会じゃないんだから静かに見てよね・・・

 

 

超個人的な話なんですけど、わたしが失恋した時に、知り合いに"その男と仲良しコミュニティ(的なもの)どっちが本当にお前のことを大切にしてるか考えろ"的なことを言われて、なんか、その事を思い出したんですよね。っていうかそんなことこれまで忘れてた。

それをダニーに被せて見ちゃって、なのでより一層べつにダニーを好いてる訳でも大切に思ってる訳でもないクリスチャンと友達と、苦しみを分け合って家族として迎えようとしてくれるホルガの皆さんの対比を感じたし、居場所ではない人を切り捨てて、いるべき場所を見つけたみたいな喜びを感じた。あとホルガの皆さんやさしい・・・・・・になった・・・・・

ミッドサマーって作品がそもそも(監督の)個人的な(失恋を慰めるための)話なので、そういうところで相性がよかったんだな〜と感じた。


ついでに、この作品の怖さって、想像しちゃうところなのかな、と思う。わたしは対ストレス性なのか、余白の部分に怖いことをあんまり想像しないのでただハッピーになったけど、賢い人の感想とか読んでるとへぇー余白からそんなことまで読み取れるのかとか思って。想像力が豊かな人の方が怖がってるイメージがある。たしかにじわじわくる怖さとか、緊張感のある間は自分の考える最強に怖い展開とか想像しちゃうよね。

ただ、わたしの場合はただそんな緊迫シーンで毎回隣の人の「えっ怖い・・・・・・怖い・・・・・」って心の声がだだ漏れで緊張感が緩みまくったのもあるんだろうけど。励まし上映じゃないんだから静かに見てよね・・・・自分自身と戦って・・・・・


ダニーに感情移入できなかったり、うたぐり深い人とか、クリスチャンに性質とか考え方が似た人とかは違うのかもしれないな〜と思った。あと道徳的にホルガの文化を受け入れられない人とか・・・(?)

 


という訳で、わたしはとても楽しめました!ショック療法的な癒しと爽快感がありました。でもまあ向き不向きがあるので・・・・我こそはと思う方はよければ見たらいいと思います!